● 研勢塾的五輪書解説8 兵法の身、常の身
こんにちは。川村義之です。
さて、今回も日本で一番有名な剣豪、宮本武蔵の著書『五輪書』の内容について解説していきましょう。
宮本武蔵が書き遺した『五輪書』には、次のような記述があります。
「総て兵法の身におゐて、常の身を兵法の身とし、兵法の身を常の身とすること肝要なり。よくゝゝ吟味すべし」
これは、現代スポーツ的な考えとは全く違うことを言っているんですね。
ここで言う兵法、とは各種専門分野のことです。
また常の、というのは普段生活しているとき、という意味です。
要するに本番では、普段生活しているときと同じ姿勢、同じ体の使い方をしろ、ということです。
そして同時に、普段生活しているときには、本番のときと同じ姿勢、同じ体の使い方でなければならない、と言っているんです。
しかし、これは現代スポーツ的発想では、不可能というか不自然なことです。
ほとんど全てのスポーツでは、猫背の前傾姿勢に構えます。
そしてカカトを浮かせ、拇趾球で蹴って進みます。
これは本当は現代スポーツ的な体の使い方であっても、本番であれ普段の生活であれ根本的には変わりません。
普通は、普段の生活でも本来あるべき正しい姿勢よりもずっと猫背になっています。
また本来あるべき正しい体の使い方では、カカトはむしろ浮かさず、拇趾球で蹴る必要もありません。
しかし各種専門分野の本番というときには、普段の生活よりもはるかにがんばってしまうはずですね。
普段より猫背に、普段より頭を前に出して前傾し、普段より拇趾球で蹴ってピョンピョン跳んで動きます。
つまり普通は本番ほどより一層強く、間違った体の使い方をしてしまうということです。
それこそ普段の生活の中でやったらあまりに不自然でおかしい、というほど特殊で、がんばった体の使い方をするわけですね。
しかし武蔵が言っているのは、それとは全く違うことです。
普段生活しているときの姿勢や体の使い方で本番に臨み、普段から本番のときと同じ姿勢や体の使い方で過ごせ、というのです。
普段生活しているときと同じくらい力まず楽で自然であり、無意識でないといざ本番、というときに緊張したり力んだりしてしまいます。
またそれを毎日の、24時間の生活の中で切れ目なくやっていなければ、いざ本番というときに咄嗟に、自然にはできないんですね。
そして武蔵は、これが肝要だと言っているんです。
本当に正しい体の使い方、本当の武術の体の使い方では、自分の体に元々備わっているものを、いかに即座に、淀みなく引き出せるか?が重要です。
ですから日常生活とかけ離れたような特殊な構えや動き、筋力でがんばることを必要とする体の使い方ではダメなんですね。
そしてそれができるようになるには、例えば道場の中だけで1日何時間、とかではとても足りません。
本番のときも普段生活するように動き、普段から本番のときと同じようにしていなければ、いざというときに緊急事態に対処する、などというのは練習することすらできない、ということですね。
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