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Channel: 錬武体術 啓真道
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相手が勝手に負けるという世界の入口

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● 相手が勝手に負けるという世界の入口


こんにちは。川村義之です。今日もこれから、本当に理に適った体の使い方についてお話ししましょう。

今回は、合気道を経て現在は脱力系武術をされているかたの、研勢塾上級第5回目のようすをご紹介します。

上級の終盤ですが、だからこそ基本の精度、正確さが大変重要になってきます。

ある程度できるようになってきたからこそ、自己流に陥ると取り返しがつかなくなるからです。

それでまずは、基本の立ち方を細かく細かく、丁寧に丁寧におさらいしていただきました。

それは股関節から胸椎、頸椎に至るムチミの連動を練習するということで、これが本当に正しい体の使い方の核心となります。

これを通し、世の中のほとんどの人がそうですが、胸椎の動きがまだ正確さに欠けるのがわかったので、胸のエクササイズをやっていただきました。

やっていただいたのは2種類あるうち胸を大きく動かすほうで、胸椎・胸骨・胸郭を狙った方向、狙った角度に狙ったぶんだけ動かす、という練習になります。

この感覚をもとに手首をつかんでいただいて、胸椎の適切かつ正確な動きがそのまま技になる、というのを確認していただきました。

本当に正しい体の使い方にとって、クルマに例えるとエンジンは股関節で、胸椎はトランスミッションにあたります。

しかしほとんどの人はあまりにも胸椎を動かさないので、トランスミッションのギヤとギヤが錆びついて動かせなくなっているんですね。

この胸の動きを使い、手首をつかんだ相手に一瞬で入る、反対に相手を入れる、というのも練習していただきました。

入られれば相手は勝手に力んで固まってしまい、入れられれば相手は勝手に力が抜けて踏ん張れなくなります。

これも合気道に必要となる、相手と一体化するということですが、そのためには小さく軽く、優しく揺れることが肝要です。

同じ波に乗って一緒に揺れていれば、自分と相手は一体化したことになるわけすです。


これを使うには揺れを邪魔しない体、がんばって力をぶつけにいかない気持ちが不可欠です。

このとき相手が大きかったり強そうだったりすると、ついつい力んでがんばってしまいがちになります。

そうすると体は勝手に力み、末端から動き、反作用に押し戻される、効率の悪い状態になってしまうんですね。

だからこそ合気道開祖・植芝盛平翁先生は「相手を見るな」とおっしゃったわけですし、大東流の堀川幸道先生は「何もするな、何もしないのが合気だ」とおっしゃったわけですね。

また、宗教的・呪術的な意味合いでしか語られない「印を結ぶ」ということの力学的効果についても、実際にやって確認していただきました。

純然たる力学的・解剖学的手法であっても、命の懸かった昔の武術はその真意を神秘主義の影に隠していることがあります。

しかしそれを額面通りに受け取ってしまうと、横道に逸れるばかりで習得はおろか、かえって害になることもあるので注意が必要です。

ですがこうしたことがわかると、一生懸命がんばって必死に相手を打ち負かそう、という気持ち自体が技の成立を妨げると実感できてきます。

つまりはこのあたりが、相手が勝手に負けるという世界の入口であり、闘争心が要らなくなる、むしろ邪魔になる世界の始まりになるわけですね。

ですからやみくもに体を鍛え、ただ技を何種類もコレクションしていたのでは、闘争心と闘争心をぶつけ合う、泥仕合に終始するだけなんです。

ここでこちらのかたから、中国武術の含胸抜背、尾ロウ中正といった姿勢が、本当に正しい体の使い方と食い違わないのか?とご質問いただきました。

そこで実演しながら、それぞれの用語や形態の本当の意味、研勢塾でお伝えする体の使い方との呼応点についてご説明しました。

要するに、動きのどの時点を習得の手がかりにするか?の違いでしかないということですね。

見た目にどれだけ違っても、中身については本当に正しい体の使い方の要である、正中線がMAXで出た状態から覚え始めるか?そのためのタメをつくるところから覚え始めるか?の違いがあるだけなんです。

要するに各種武術の根本的な本質は共通しているが、それは実際にそれをできるようにならなければわからない、ということです。

ここでも見た目の違いに気をとられてはいけない、すなわち相手を見るな、という言葉が重要な意味を持ってきます。

ここからは仰向けになっていただき、尾骨の操作で胸椎・胸骨・胸郭、頸椎、後頭部にまで連動を起こす、というのをやっていただきました。

このときたいていの人が腹筋力が入るのですが、これはあくまでもお腹の力を抜き、全身を脱力させてやらなければなりません。

それはここが普通の、誤った体の使い方と本当に正しい体の使い方のボーダーラインだからで、末端から力任せに動く人は、腹筋から力を抜くと動けないんですね。

次に仰向けのまま站トウ功の構えになっていただき、体幹の連動で手首から先だけを天井に向けて飛ばす、という練習をしていただきました。

具体的な動きを提示すると、多くのかたがそれを意図的にやろうやろうとしてしまいますが、結果としての動きを正しくない原理でできても仕方がありません。

焦らず力まず、がんばらずに、勝手に自動的に、結果として動きが生まれるのを辛抱強く待たなければならないんですね。

やっていただいた結果、こちらのかたには站トウ功より剣の素振りのほうが相性がいい、とわかりましたので、それをメインに練習していただき、それを合気道のさまざまな技に当てはめていただきました。

このことから、合気道、居合術、剣術、中国武術などあらゆる武道・武術の形態や形式は、元々は達人の動きをそのまま表したものだとわかります。

勝手に自動的に、結果として簡単に、筋力でがんばらなくても技が決まるようになるからです。

ただしそのためには、中身の原理が正しくなければならないんですね。

この原理がわかってくると、各流派の開祖とされる達人の多くが、最初から答を言っていたと気づきます。

僕たちは自己評価が極めて低いのが普通なので勝手に、そういうことは何十年も修行しないとわからないとか、選ばれた天才にしかわからないとか決めつけてしまいます。

でもそれは間違いで、達人の先生がたの言い遺された言葉は、全て初歩の段階から厳守しないといけなかったんですね。

こうして、どんな武術の達人技でも正しくは全て頸椎・肩関節・股関節(膝)から内側では基本的に同じ動きをしている、とわかるわけです。

最後には、相手と自分の正中線の位置を使って、攻防において有利な展開を生む、ということの基礎もお伝えしました。

「(技に)何の手応えもないし、どこにも引っかかりがないですね。本当はこうやってたんですね。確かに(決められた通りの)形になります!」

「凄く、よくわかりました。ようやく、長年の謎が解けました!」

ありがとうございます!今一度基本に還って、さらに緻密に妥協なく仕上げていきましょうね!


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